角 木綿子さん

角 木綿子さん 1977年原宿パッチワークスクールに入学。1980年より鷲沢玲子さんに師事。トラプントキルトの美しさに惹かれ、その技法を取り入れた作品の制作に力を入れている。角木綿子パッチワークキルトサークルを主宰し、自宅教室、金沢教室以外にNHK文化センター横浜ランドマーク教室を務めている。共著に『はじめてのパッチワーク キルティング』(日本ヴォーグ社)がある。

キルトは、布をつないで違う世界を創り出すおもしろさとともに、細切れの時間でも積み重ねていくことで完成に近づける。その意味では「時間のパッチワーク」がキルトだとも思う。家事をやりながらでも、ちょっとの時間に針を持つことはできる。そして30年続けてくると、お楽しみではすまなくなり、制作は芸術だと思っている。追求する姿勢が問われ、厳しさが大きくなればなるほど、作品ができた時の喜びも大きくなってきたのを感じている。 音楽はショパンやドビュッシーが好き、絵はモネやルノアールが好き、色も白やブルー、ペパーミントグリーンが好きというように、美しいもの、優しいものが好きという角さん。キルトも悲しさや苦しさ、怒りをぶつけるものではなく、優しさに包まれているような心地よさを大切にして作りたいという。 特にトラプントを知ってからは、キルトの美しさを表現するためにキルティングは最優先作業となった。もともとキルトの作業の中では、キルティングが一番好きだ。延々と針目をつなげることで、布に陰影が生まれ、デザインの表情が出てくることに魅了される。角さんには、ホワイトキルト、トラプントはキルティングの魅力の集約されたものとも思えるという。 鷲沢さんの教室へは創設当初から通っているが、そこではキルトの技術だけでなく、人生そのものを学んだと思っている。生徒たちは同じものを目指す仲間でありながら、競争ではない良い関係があった。何より鷲沢さんの前向きな姿勢が、気持ちよく感じられたという。 ―本文より一部抜粋― キルトジャパン2007年9月号より
  • 自宅アトリエの窓辺にあるテーブルと毎日使う道具たち。
  • お針箱にはアンティークの小ものや使いやすい道具を入れて楽しんでいる。
  • 角さんが手に持っているのは、1984年制作のドランカーズパスのキルト。20数年経って布も薄くなってしまったが、家族を見守ってきた大好きなキルト。その他にも思い出に残るキルトがいっぱい。
  • 『レ・シルフィード』2006年制作 210×182cm
    パリのクリニャンクールでアンティークの布を見つけ、優雅で美しい布のイメージをこわさないように、プロヴァンスで出合ったブティの図案を参考にして制作。妖精が舞い降りてくるような、美しいキルトができ上がった。

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