片桐好子さん

片桐好子さん 大阪市出身、奈良市在住。1990年第1回キルト日本展にて『傾―KABUKI』文部大臣奨励賞受賞。1992年から「キルトスペースYOSHIKO」を主宰。1993年パシフィック・インターナショナル・キルト・フェスティバルにて『風―KAZE』入選。1994年第1回個展「粋を遊ぶ展」を日本ヴォーグ社(東京)にて行う。1995年アメリカン・キルターズ・ソサイティ・アニュアル・ショー・アンド・コンテストにて『春―SPRING』入選。以降コンテスト受賞歴多数。現在は奈良、大阪の「和布でたのしむキルト教室」で教えながら、粋なコンテンポラリーアートを目指して制作中。

1993年にパッチワークスクールに通い始め、飽きっぽい性格という片桐さんが、気がつけばキルトを20年以上も続けているのである。 「私、アップリケは昔から好きで、独学で40年以上もやってきました。子供たちが小さい頃は洋服や小ものにアップリケしたものをたくさん作りましたが、今でも見ると懐かしい気持ちになりますね」 パッチワークスクールでは、自分が一つの課題を仕上げるまでに、早い人は3つも4つも作る。「これはついていけないわ。来月はやめよう」と思いつつ、和裁をやっていた姉の残した和布を持っていくと、それで作ってもOKと言われ、自分なりの活路が見え始めた。「もしかしたら、自分がやりたいことはこれだったのか」という思い。そして、パッチワークに、得意のアップリケを融合させた作品を作りたいと構想がふくらみ始めた。 もともと布が好きだったので上達も早く、スクールに在学中から講師となった。その頃作った『傾―KABUKI』という作品が、第1回キルト日本展文部科学大臣奨励賞を受賞する 「小さい頃から歌舞伎や着物など日本的なものに慣れ親しんできた下地が、自然に和布を使って日本人の美意識を表現したいという、こんな作品になったと思います」という片桐さんだが、以来一貫してこの道を追求することになった。 ―本文より一部抜粋― キルトジャパン2005年1月号より
  • 裁縫道具は、底に「小林又八」と名がある昔の大工さんが使っていた木製の箱に入っている。箱のふたが上に開くので中のものが取り出しやすく、引き出しには糸や小ものが入っている。父からゆずり受けた大切な大工道具入れが裁縫箱に変わった。
  • 骨董市などで買い求めた着物の数々。着物に囲まれ「至福の時」が瞬く間に過ぎていく。
  • 『傾―KABUKI』1990年制作 200×200cm
    1990年第1回キルト日本展文部大臣奨励賞受賞。歌舞伎の舞台に季節感を与える花と、役者の表情を豊かにさせる小道具たちを、墨色に手染めした土台布の上にバランスよく並べてある。タイトルの「傾」は、歌舞伎の語源である「傾く(かぶく)」からとったもので、ボーダーに配置した茶色とオリーブ緑の2本線は、歌舞伎の舞台の定式幕(じょうしきまく)を表している。
  • 『微―HONOKA』2004年制作 145×145cm
    インターナショナル・キルトウィーク名古屋2004「ランの花キルト」出品。片桐さんは、日本古来のランの花を探求しているうちに、熊谷草(くまがいそう)とか敦盛草(あつもりそう)と呼ばれる花に出合った。花の形が武士(もののふ)の背負う母衣(ぼろ)に似ているので、そのような名前で呼ばれている。林の中で静かに咲くその花は、武士の魂のように思えていとおしい…。

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