こうの早苗さん

こうの早苗さん 福岡県に生まれる。1983年よりパッチワーク教室を開く。雑誌などで、フラワープリントの布を使ったパッチワークキルトや、洋服作りを提案しながら、全国各地で講習会と作品展を開催。1999年「NHKおしゃれ工房」に出演。2002年より「東京国際キルトフェスティバル」に参加。著書に「花のキルトワーク」、「パッチワークで花を愛でる」(共に文化出版局刊)、「私の好きな服」(主婦と生活社刊)、「こうの早苗 キルトで楽しむ毎日」、「バラいっぱいのロマンチックキルト」(共にNHK出版刊)他多数。 関連本 こうの早苗のよくわかるパッチワークレッスン かわいい毎日のキルト

仕事柄洋書に接することの多かったこうのさんは、色々なプリントの布をはぎ合わせたパッチワークをまねて、作ってみた。キルト芯も売ってなくて、毛布などを挟んで縫った覚えがあるという。そのうち、野原チャックさんが雑誌でパッチワークを紹介し始めた。こうのさんも三池道さんの教室へ、しばらく基礎を習いに通いもした。今も手元に残る一枚のベッドカバーは娘さんのもので、何十回と洗濯してすっかり色褪せている。息子さんの初代のベッドカバーは、ボロボロになるまで使い切ってしまったという。 一介の主婦の趣味で始めたキルトの身上は、とにかく生活に役立つ実用ということだった。キルトはピーシングもキルティングも手縫いだが、洋服はミシン掛け。子供たちが小さい頃は、洋服作りが面白くてたまらず、一日に一枚は縫ったという怒涛の時期もあった。 「それからすぐにアメリカンカントリーの時代になりましたが、私はヨーロッパの香りに憧れていましたので、そんな色合いのパッチワークを米軍ハウスに合うようにアレンジして縫っていました」 そんな生活から、自然発生的にパッチワーク教室が生まれたのが、こうのさんが二十九歳の時だった。 こうのさんのキルトは、ピーシングもキルティングも昔から手縫いである。 「ただコツコツ作るほうが好きなんです。なんでと言われても、分かりませんが」 たとえばスープを作るなら、圧力鍋で短時間で作るよりは、コトコトと一、二日煮込んで作るほうが好きだ。「不便なほうが、より楽しい」という言葉の裏には、すべてが効率と利便性によって成される今の世の中に、大事なものを取りこぼしているという危機感が大きくある。無駄なことの中にこそ、何かの萌芽が潜んでいるのではないだろうか。 ―本文より一部抜粋― キルトジャパン2007年3月号より
  • こうのさんの園芸の師匠の店で、ハーブの苗を選んでいるところ。こうのさんにとって一番至福の時である。撮影協力/ハナヒロ
  • 小ものばかりを集めたショーケースの中には、8個のボックスで色別にコーディネートされている。
  • それぞれの布が持つ特徴をよく出すことができる、四角つなぎのバッグ2種。持ち手もポイントに。
  • 本に掲載された作品が所狭しと並ぶ、ショップ内のギャラリー。

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