笹倉幸子さん

笹倉幸子さん 仙台生まれ。1987年ごろから手縫いのパッチワークを始める。1997年アメリカ・ヒューストンのインターナショナル・キルトフェスティバルにて、ミシンキルトに魅了され、ハンドからミシンキルトに転換。1999年財団法人日本手芸普及協会パッチワークキルト指導員取得。2007年アートスペースリビーナにて個展。主な受賞歴は、キルト日本展キルトジャパン賞、IQW,IQA,AQS、キルトビジョンズなどに入選、入賞。現在パッチワークキルトサークル“幸”主宰。東京在住。

笹倉さんの原点は、お母さん。和裁、編み物などを内職としていた母は、常に手仕事をしていた。そんな母のそばで笹倉さんも小学校低学年からレース編みや文化刺しゅう、ぬいぐるみ作りなどをしていた。「でもたった一つ、洋裁にだけは手を出さなかったのは、ミシンという機械が嫌いだったからなんです。それが後年、こんなにミシンのお世話になるなんて、不思議ですよね」という笹倉さんだが、もし指の異常を経験しなかったら、今でもハンド一筋だったはずと言う。それほど手仕事にゆるぎない親近感を持ってきた。  「手縫いの魅力は、小さなピースをはいでいったら、最後に大きな作品ができるというところではないでしょうか。片やミシンキルトの魅力は、布だけでなく幅広い異素材をつかえるという広がり、可能性ですね」  全般にキルターの手縫い信仰は根強く、日本は特にそうかもしれない。ミシンキルトではキルトが固くなり、ふっくら感がなくなるという意見はよく聞く。 笹倉さんのミシンへのアプローチは、縫うスピードが速い分、前準備を丁寧に怠りなくするということ。これは生徒に教える時も、くり返して力説している。  ミシンの電源を入れたら、まず針と糸の調子を見るための試し縫いをすること。いきなり縫い始めて失敗し、ほどいてやり直すのでは、かえって時間がかかるし、意欲をそがれる。 「私は大作を作る前に、70cm四方くらいの試作を作って、糸の具合やキルティングの感じなど、細かなところまで納得してから始めます。それを作る前にも試作を重ねますから、70cmのもの自体が作品といえるくらいに準備してから、作品作りに臨んでいます」 ミシンの特性を理解した上で、手縫いのキルトにも負けない美しい仕上がりを求めたいという笹倉さんだ。 ―本文より一部抜粋― キルトジャパン2010年11月号より
  • キルティングのラインのデザインノート。日々、思いついたラインをノートに書き留めておく。奥にあるのは実際に縫ったキルティングラインのサンプル帳。生徒さんに見せるために制作した。
  • 普段持ち歩くバッグはシンプルなデザインで。右が春夏用、左が秋冬用。同じ形で素材や色を変えて制作。
  • こだわりに乗じてオリジナルで作った糸。コットン素材の段染めの糸3色。色のムラの出具合が従来のものとことなるのが特徴。
  • 2007年に開催した個展に合わせて自費出版した作品集『Cats & Flowers』。「もう一人の家族」シリーズ12点と「夢花」シリーズ6点を掲載。オールカラー40ページ。

最近見た商品