沢田淳子さん

沢田淳子さん 1981年「ハーツ&ハンズ」にて故野原三輝氏に師事。1984年「ハーツ&ハンズ」講師となる。1990年「第1回キルト日本展」入選。1992年「キルトヴィジョンズ展」(サンディエゴ歴史博物館)入賞。1993年「PIQF」(サンフランシスコ)入賞。1995年「PIQF」入選。1996年「第2回日本のキルト20人展」出品。1997年「キルトウィーク横浜」招待出品。1998年「国際キルト博‘98 in Japan」出品。1999年「第16回ハンズ大賞」入選。「AQSキルトコンテスト」イノヴェイティブ部門第2位。2000年NHK「おしゃれ工房」出演。2001年「AQSキルトコンテスト」ミックスドテクニック(プロ)部門第1位。2001年「輝く作家たちのキルト展」出品。2002年「AQSキルトコンテスト」イノヴェイティブ部門第3位。同年「日本のキルター30人展」出品。2003年「パッチワーク アートテキスタイル展」(於フランス パレゾー)出品。2004年「IQAキルトコンテスト」アートラージ部門入選。同年「世界のキルト作家100人展=キルトに託したジャポニズム」出品。2002~2005年東京ドーム「東京国際キルトフェスティバル」出品。

沢田さんがキルトに出合ったのは、1978年のこと。大学卒業後、外資系企業に勤めていたが、夏休みに三週間ボストンに短期留学した。その時に、ホームステイした家庭でのことだった。アメリカは折りしも建国200年祭。歴史の浅いアメリカが誇れる数少ない文化として、キルトはブームを迎えており、滞在先の主婦たちも自作のキルトを自慢げに見せてくれた。
「もともと小さいころから針仕事が好きでしたから、そのトラディショナル・パターンのキルトに惹かれるものがありました。それでアメリカンコットンの布を買って帰り、後のファーストキルトはその布を使用して作りました」
1981年、仕事を続けながら野原三輝さんの「ハーツ&ハンズ」の夜間教室に入学。月三回の授業のほか、課題を夜中まで夢中になって縫った。30センチ四方のパターンが15、6枚にもなり、あと数枚でラティスやボーダーをつければ大作ができるとなった時、その実感が大きな喜びとなって波のように押し寄せた。
自作のキルトは四作目までトラディショナルなキルトを作った。オールドパターンはデザインそのものが完成されているので、それだけで安定感、安心感があるのが魅力だ。でもそこに止まらず、よりクリエイティブな方向を目指したくなった。
野原三輝先生にも、吉川順子先生にも、好きなものを自由に作りなさいと後押しされ、オールドパターンを使いながらも独創性(イノヴェイティブ)を加味した作品を作り始めた。その転換点となったのが1991年の「さざ波」である。ダブルウェディングリングのオールドパターンがただ並べるだけでなく配色を変えることで、ダイナミックな広がりのあるデザインになった。
ミシンを作品作りに使いだしたのは、1997年の「花の小径」からである。きっかけは自主的というよりも、ハーツ&ハンズのカリキュラム内容からだったが、やってみるとこれが思いのほか楽しい。ピースワークにミシンを使うが、キルティングはやはり手縫いでという人が圧倒的に多い中で、いかにミシンキルトで風合いをなくさないようにするかが、大きな課題である。
「ミシンは、思いついたデザインを素早く描けるので、勢いやスピード感のある線が縫えるという大きな魅力があります。と言っても、スピードに乗りすぎると安易に流れるという両刀の刃ですね。そこで、意識して丁寧な仕事を心掛けると、糸と布の調和や糸始末など試行錯誤の時間が長く、結局手縫いと同じくらいの時間をかけているような気がします。でも、精神的に楽ですね」
―本文より一部抜粋― キルトジャパン2005年9月号より
  • 『風が見たもの』1992年制作 178×203cm
    変形したログキャビンの上に、鳥の雄大な姿をアップリケの手法で描いた作品。優しい色合いでまとめながらも、ブルーがアクセントになり、ダイナミックで新鮮なデザインが生まれた。自然な流れや動きが自由に表現でき、次の作品作りへとつながった思い出に残る作品の一つである。
  • 『時の忘れもの<木組の家>』2004年制作 210×175cm
    2005年「東京国際キルトフェスティバル」出品。「家」をテーマに海外旅行中の印象をまとめたものである。ゆるやかな丘に点在する農家、倒れかかっても建ち並ぶ木組の家々、植木鉢を並べたような暖炉のある屋根の数々。どれも心に止めておきたい光景がキルトで表現されている。
  • 毎日のキルト作りが楽しくなるお針箱には、エスカルゴやくるみを利用して作ったピンクッションや、かわいらしいデザインのメジャーが詰まっている。
  • 海外旅行先で取った写真がキルトの面白いデザインソースになる。

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