嶋 道子さん

嶋道子さん 1984年「パッチワーク通信2号」に初めて作品が掲載され、以後雑誌に多数掲載。1985年岐阜県美術館にて「第1回パッチワークキルト展」を開催、以後毎年開催。1996~1998年ハンガリー、ドイツ、ポルトガルでNHK主催「日本文化祭」に出展。20002年「AQSキルトショー」入選。以後AQS,IQAに数回にわたり入選。以後AQS、IQAに数回にわたり入選。2008年からは韓国、台湾にて講師をつとめる。NHK「おしゃれ工房」出演。現在、奈良在住。マザーエム・キルターズ主催。著書に『和布れのパッチワークキルト集』『絹・木綿のパッチワークキルト』『嶋道子のバイヤスワークキルト』がある。

嶋さんがキルトをする時に欠かせないのが、香りと音。幼い頃、祖母はよく着物に香を焚きしめていた。その香りが想像を膨らませて、ファンタジーの世界へ誘ってくれた。嶋さんの香りの原点だ。お香は精神的に落ち着かせてくれるし、香水はエキゾチックな雰囲気を醸し出す。音楽は、水の音や波の音、二胡の演奏など、言葉の入らないもの。 キルトをする時、まず五感を働かせる世界を作り、その中に浸りきって制作すると、でき上がる作品も違うと嶋さんは言う。 「うちはつましい暮らしでしたが、春には春の食器を使い、夏には襖を簾戸(すど)に替えるといったように、季節に添った生活を送っていましたから、そんな影響もあるかもしれませんね」 作ろうとしている作品に合った世界を香りや音で演出したら、その現実離れした場を途切れさせないように没頭し続けるのが、嶋さんの制作方法で、そうすれば疲れも知らないという。 また嶋さんは詩が好きで、中学生の頃は作家になるのが夢だった。その片鱗が見えるのが、キルトのタイトル付けである。待夏、散華、水琴くつ、時遊、浄魂など、イメージを喚起するタイトルが並ぶ。 「日本語ってすごいと思いますね。漢字一文字でわーっと押し寄せるイメージ。タイトルから決まって、作品が生まれたこともありました」 嶋さんが、自分の作品にひっそり行っている仕掛けがある。その時その時の作品に込めた思いを文章にして布に書き、トップとキルト芯の中に縫い込む。そのキルトが、ボロボロになって百年後の誰かに解かれ、中の文章が人目に触れる日が来るか否か。ガラス瓶に手紙を入れて海に流すロマンにも似て、時空を超えた仕掛けである。 ―本文より一部抜粋― キルトジャパン2009年9月号より
  • 『飛鳥』207×188cm
    緑のグラデーションと、曲線を描くフライング・ギースを大胆に配した。時空を超えた無限の世界が広がるような印象を与える。2006年制作。
  • 布を選ぶ手、ピースワークをする手。布に、針に、吸い寄せられるように動く。35年の歳月で培った感覚である。
  • 『浄魂』(部分)218×190cm
    ニューヨーク同時多発テロの後に制作。繰り返すパターンは輪廻を連想させる。「和のキルト展」出品。
  • 自由自在に模様が描けるバイアステープをミシンで止めつけるようになり、さらに表現が広がった。ミシンは用途によって使い分けている。

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