園部美知子さん

園部美知子さん 東京出身。髙島屋宣研でスタイリストをした後、ライトパブリシティでファッションスタイリスト。1975年結婚を機に家庭に入る。1983年ハーツ&ハンズ・パッチワークスクールに入学。1984年「カフェる」でハンズ大賞ムード賞受賞。1985年「バカンス」でハンズ大賞入選。「キルト イン ジャパン50人展」に「カフェバー」を出展。1986年「日本キルトの幕開け展」に「カフェバー」を出品。1987年「キルトナショナル87」(オハイオ州デーリーバーン)に出品。「カフェバー」「バカンス」入選。そのイベントのポスターに「バカンス」、89年版記念カレンダーに「カフェバー」「バカンス」が採用。1988年雄鶏社より「園部美知子のレースとキルトの贈り物」出版。1989年玉川髙島屋コミュニティクラブの講師就任。「ビジョンズ キルト展」(ケンタッキー州・サンディエゴ)で「フラワーイング」入賞。1990年「花の万博記念・国際キルト公募展」で「野ばら」ブロンズ賞受賞。1991年NHK教育テレビ『婦人百科』の「キルト風雛」に出演。1994年「AQS・キルトコンテスト94」(ケンタッキー州・パデューカ)で「ばらの贈りもの」入選。ボストンのBUILDING BRIDGES COLLEGEのテキストに「カフェバー」が採用。「日本のキルト20人展」(朝日新聞社主催)、1995年「オーストラリア・ウーマンズ・クラフトショー」に「春の日に」を出品。1995年日本ヴォーグ社より『園部美知子のキルトワーク』を出版。1996年、読売新聞社にキルトセミナー・エッセイを10回連載。Micciキルト主宰。
http://www.micciquilt.com/

キルト創作を続けながら、いつもその根源には、「自分の本当に好きなものは何だろう」という問いかけをしてきた。惰性に陥ることなく、常に心弾ませながら生き生きとした作品を生み出すには、そのことが絶対必要条件だと。真の創作エネルギーは、好きなものにこそ沸き出ると思うのだ。 園部さんのキルトの作風は大きく三つに分けられる。ひとつは得意なアップリケ、ピースワーク、ホワイトキルトなどのトラディショナル・キルト。二つめは「カフェる」や「カフェバー」のような人物を描いたコンテンポラリーなキルト。そしてもうひとつが、園部さんの顔ともなっているビクトリアン・キルトだ。 園部さんの場合、ファッションスタイリストをしていた時代が、フランスやイギリスなどのヨーロッパ志向であったことが、後の美意識に大きな影響を与えた。そして、先端のファッションを追いながらも、関心は歴史的、伝統的なものへと向かい、19世紀ビクトリア王朝時代の素晴らしい手仕事に心を奪われていくようになった。 「この時代の裕福な家庭婦人が贅沢な素材を使い、優雅に時間をかけた手仕事は、見ているだけでため息の出るような精緻を極めたものです。そんな時代のアンティーク、または本やイラスト、映画から果てしなくイメージを喚起され、創作意欲をかきたてられました」 手に吸いつくような上質のシルクやベルベット、サテンなどの生地に繊細華麗なレース、リボン、ビーズなど…。これらの「美の極み」とも思えるビクトリア調の手工芸のエッセンスを、パッチワークの中に自分なりに生き返らせたい。そうして生まれたのが、園部さんのビクトリアン・パッチワークだ。 ただし、女性なら誰しもが心をくすぐられる要素を持っているビクトリアンだからこそ、その素材を扱うには、細心の感性が要求される。素材の中にすでに饒舌なメッセージが織り込まれているがゆえに、過剰な装飾に陥らないような抑制、見極めがとても重要な世界でもある。これが多様な価値観の中で非常にむずかしい。 ―本文より一部抜粋― キルトジャパン2001年1月号より
  • 『ビクトリアン・ジャパネスリー』220×200cm
    華やかなばらのプリント地に、ビクトリアン調の転写プリント、レースなど、洋の素材に着物地という和の素材を合わせた作品。異素材とともに異文化までもが美しく融合し、見事なハーモニーを奏でている。
  • 『’98 M.Collection』200×200cm
    ’98年のファッションを、大好きな人物とアンティークの布やレース、ベルベット布などの、扱いにくい布同士の組み合わせで作ったタペストリー。’98年に有楽町の国際フォーラムで開催された「国際キルト博」(日本ヴォーグ社主催)に出品。
  • アンティークレースやビーズ、リボン刺しゅうなど、ビクトリアン調に装飾されたソーイングケースやボックスは、美しいだけでなく、機能性も十分備えたものばかり。小物づくりが大好きというが、細かなところにさまざまな趣向を懲らす作業も、それを見せて皆に喜んでもらえた時も、至福の瞬間という。
  • チェストの上、壁面、出窓、カーテン…。あらゆる空間がビクトリアンで華麗に彩られている園部さんのアトリエ。パッチワーク、リボンワーク、ビーズワーク、コラージュ、デコパージュ、転写など持ち前のテクニックを駆使した作品の数々。その中で、アンティークドールたちも心地よい居場所を見つけ、微笑んでいるかのよう。

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