花岡 瞳さん

花岡瞳さん 京都府出身、在住。1979年パッチワークを始める。1985年キルトジャパン50人展(ラフォーレ・ミュージアム)に出展。1988年京都・桂に松本慧子、清水良悦さんと共にQuilt House「あんだんて」をオープン。1994年日本のキルト20人展(朝日新聞社主催)に出展。1998年日本のキルトアーティスト123人展(日本ヴォーグ社主催)に出展。1999年「花岡瞳のパッチワークキルト 甦る布達」(文化出版局)出版。2000年「花岡瞳のパッチワークキルト2 布達の余暇」(文化出版局)出版。2001年NHK「おしゃれ工房」出演。2002年東京国際キルトフェスティバル(NHK主催)出展。現在「あんだんて」で週5日パッチワーク教室を開くと共に、布やキット販売を行っている。

しかし、針仕事は大の苦手だった。この苦手意識を克服せんがため、OL時代に三年間洋裁を習った。ジャケットまで縫ったが、効果は上がらずじまい。そこで、パッチワークでもすれば好きになるかと思い、始めたという。 「教室では、最初にピンクッションを作ったのね。そのとき、こんな細かい作業は私には向いてないと思いましたが、とりあえず半年は我慢してみようと……」 半年たってみると、知らず知らずのうちに「やったらできる。面白い」となっていたから不思議だ。元来途中で投げ出すのはいやな性分の上に、対象を見つけたら猪突猛進の猪である。家にあった藍の布で作った一作目のログキャビンは、昼間は会社があるので夜の時間を使い、半年で仕上げた。 「小学校六年生からお花を、中学からはお茶を習い始めましたから、人形とかよりお茶の器に興味がありましたね。両方ともそれから何十年か続けましたが、特にお茶は着物をこしらえたりお道具を揃えたり、お金がかかるんです。それで経済的にとても続かないと思って、パッチワークを始めてからやめてしまいました。でもこの長年のお茶やお花の稽古は、花岡さんのキルト作りの「間」や「軸」の感覚に十分生きていると思うと、仲間の清水さんは言う。 また、週一回はデパートを見て回り、陶芸展やお気に入りの一乗寺の本屋、花屋、コーヒー店にも時間の許す限り足を運ぶ。「何を作るにしても、いろんなものを見ないと新しいものはできませんね。こうして出かけるのがおっくうになったら、もうあかんと思いますわ」 という花岡さんの生活信条こそ、作品作りのバックボーンになっている。じっとしている間もないほどの花岡さんの二十四時間は、他の人とは違う進み方をするらしい。 ―本文より一部抜粋― キルトジャパン2002年9月号より
  • マーブル模様のセルロイドの針箱は懐かしさが漂う。はさみ、ものさし、針などを入れて、針仕事の時にいつもそばにおいておく必需品。
  • ワクワクするような1880~1900年代のヨーロッパの布見本帳。花岡さんがとても大切にしている宝物の一つ。
  • 花岡さんはバッグなどの袋ものデザインにも定評がある。ユニークなデザインと落ち着いた色合いがとてもおしゃれだ。
  • ログキャビン 1993年制作 180×165cm
    シンプルなデザインながら細かな手仕事の美しさが光るログキャビンキルト。どんな小さな布も捨てられず、しまっておいたコレクションの古い布を使って大好きなログキャビンでデザイン。100年を経て少しも損なわれない色や柄の古い布達が今、甦る。