第2回 お題「グラデーション刺しゅう糸」
2019/04/11 00:00
ステッチイデーの人気連載「ステッチ&トーク」。刺しゅう作家の西須久子さんと新井なつこさんがひとつのテーマを元にそれぞれ作品を作り、おしゃべりするページです。対談の本編はvol.29誌面でお楽しみください。ここでは編集担当者を加えた3人で、お題以外のお役立ち内容もたっぷりお届けします。 どうしても言いたかった 編集部(以下・編) 連載第2回目ですが、お2人とも実は苦戦されたそうで…。 新井なつこ(以下・新) グラデーション糸は難題でしたねえ~。 西須久子(以下・西) 今回改めて向き合ってみたけど、グラデーションとか段染めの糸は奥が深いな~と思いました。きれいな糸だから、手に取ってみたい・使ってみたいと思う人は多いよね。  本編にもあるけど、本当に刺してみないとわからないんですよ。いろんなサンプルを見てもらえるように、西須先生と私で違う色のコロリを使ったんです。 西 コロリに色名がついてるの、おもしろいね。最初は気がつかなくて、ラベンダー系の4523を選んだら、色名が「北風」。春夏の号だからこれはナシだねって。  1本に何色も使ってあるからか、布の色も影響しますよね。 西 そうなの、青緑系のプリマヴェーラ(4506)を白い布にも刺してみたら、何かピンと来なくて。  私も、こんなに刺し直したことないですよ。作品自体はシンプルなんだけど。  そんなに…? 本当に、お手間をおかけしました。  コロリでころりって、逝くかと思っちゃった。 西 それ、どうしても言いたかったのね? ハーダンガーは早めに 西 新井さんの作品はポンポンのグリーンが効いてるね。糸の中のグリーンより濃い色にしたのが正解!  コロリの中の1色から取ったら、ぼやけた印象になっちゃって。思い切って濃いめ・渋めの色にしてみました。 西 私も最初はサテンステッチ以外の8番糸をコロリの中の1色にしようと思ってたの。いろいろ試してみたけどしっくり来なくて、結局布に合わせた色にしました。あえての濃い色ね、勉強になるわ~。  刺しゅう界のヤンバルクイナ(編集部注・希少生物という意味らしいです)と言われるほどの重鎮なのに、この向上心!  西須先生のドイリーはハーダンガーだから、布の織り糸4本分のサテンステッチですね。  ハーダンガーにグラデーションのコロリを使うの、いいですね。すごくきれい。 西 単色で刺すより「あら」が目立たなくていいかも。(コロリは25番糸の)3本どりなので、布目を埋めるようにふっくら刺せますよ。普通はサテンステッチも8番糸だからね。  ハーダンガーは刺していくうちに糸が毛羽立ちやすいせいか、仕上がりがホコリを呼びがちというか、うっすら色が変わりがちというか…。 西 それはあるのよね~。はっきり言うと、汚れやすい。制作途中の布と糸をビニール袋に入れておくのも、静電気でホコリが集まるからよくないの。ハーダンガーは刺し始めたら早めに仕上げた方がいいです。特に白いものは注意が必要ね。  では、制作中はどうやって保管していますか? 西 作りかけの布も薄紙に包んでから筒に巻いています。前回のくり返しになるけど、自分の作品を大切に扱いたいからね。  今回使ったコロリ、他にはどんな使い方ができると思いますか?  シャツのポケット口とか前立てに、詰めてボタンホールステッチするとかわいいと思う。 西 ボタンを同じ糸でつけてもいいね。  白いシャツは明るい色、ダンガリーのシャツには濃いめの色が似合うんじゃないかな。 西 あとは、スミルナステッチ(スタンプワークで用いられるループ状のステッチ)に使ってもおもしろそうね。 古い色見本帳の活用法 西 そうだ新井さん、あの写真見せてあげて! 色見本帳の…。  はい、これですね。  これは、刺しゅう糸の色見本帳を切り離したもの?  そうです。古くなった色見本帳を列ごとにカットして、上に穴を空けてリングでまとめたの。買い足す時は必要な番号のある列だけ外して、お店に持って行けばいい。 西 これアイディアよね。それぞれの色を布の上に乗せて見られる。  本当、いいですね! 編集部でも作品の色番号を確認するのに色見本帳が必需品だから、今度やってみよう。  これね、私がインスタグラムにアップしたら西須先生から連絡が来て、「すぐ削除しなさい!」って。 西 「こんないいアイディア、イデーの連載用に取っておかなきゃダメじゃない!」って言ったの。  いろいろお気遣いいただき、ありがとうございます(笑)。
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第1回 お題「5番・8番刺しゅう糸」
2019/04/11 00:00
ステッチイデーvol.28から始まった新連載「ステッチ&トーク」。刺しゅう作家の西須久子さんと新井なつこさんがひとつのテーマを元にそれぞれ作品を作り、おしゃべりするページです。対談の本編はvol.28誌面でお楽しみください。ここでは編集担当者を加えた3人で、今回のお題「5番・8番刺しゅう糸」以外のトークもたっぷりお送りします。 普段から、よく会ってます 編集部(以下・編) ステッチイデーWEBでは対談のこぼれ話というか、本編には載せ切れなかった部分を公開したいと思います。なんせ、対談1ページ分に4時間もおしゃべりしてたんですよ!? 西須久子(以下・西) この対談があるから、新井さんとしばらく連絡取らないようにしてたの。 新井なつこ(以下・新) 対談の前に会うと、話し切っちゃうから。話すことなくなっちゃうから。  そんな心配はご無用だと思いますが…。おふたりは普段から仲がいいという印象ですが、どのくらいの頻度でお会いになってますか? 西 月に1度は教室があるからね。  私は今も西須先生の教室に顔を出しているので。あとはランチしたり、おいしいものを渡しに行ったり。この前も、カニの受け渡しのため某所ドトールで密会しました。 8番糸、刺しゅう以外にも? 西 連載の本編は5番・8番刺ゅう糸の色数が少ないって話で終わったけど、8番糸はカラフルなカロチャ刺しゅうに使う人が多いのよね。赤ならこの色、緑はこれ…って感じで、使う色番号がある程度決まっちゃってるのかも知れない。  8番糸は、実は刺しゅう以外にアパレルでも使われているんですよ。丈夫だから、ジャケットとかコートのボタンをつけるのにいいの。黒とかこげ茶とか、ボタンつけによく使う色の8番糸は1玉持ってると便利だと思う。 西 確かに! あとね、新井さんに教えてもらった、新しい服を買ったらボタンをつけてある糸に「ほつれ止め液」(編集部注:クロバーの「ほつれストップ液」など)を1滴つけておくっていうの、私もやってる。  シャツのボタンとか、いつの間にかつけてる糸が出てきちゃうでしょ。あれが防げるの。おすすめです。 西 ほつれ止め液って、便利よね~。刺しゅう用の布はほつれやすいのも多いから。裁った後の余り布も、全部の端に塗るのは大変だけど、四隅だけでもつけておくと違うよね。 糸が痩せちゃう!  対談の本編で、「かせ」になっている5番刺しゅう糸の扱い方のお話がありました。「三つ編みはしない」という…。 西 三つ編みにするとすっきりまとまるから、したくなっちゃうと思うんだけど…私は25番刺しゅう糸も、三つ編みしません。クセがついてヨレヨレになっちゃうし、糸が毛羽立っちゃうから。  そうなのー! 毛羽立つと、糸が痩せるからダメなの! 西 糸が痩せると言えば、刺し間違えたところをほどくでしょ。生徒さんたち、その糸でまた刺そうとするんだけど、ほどいた糸は痩せてるから、きれいに仕上がらないのよ。  きれいに仕上げたいなら、多少もったいなくてもほどいた糸は使わない方がいいですね。 西 刺しゅうをする人には、糸を大事に扱って欲しい。保管する時もむき出しのままでは良くないですよ、日焼けして変色しちゃうから。同じ色番号でも微妙に違う色になってしまいます。刺しゅう糸にも鮮度があるから、あんまり「買いだめ」しない方がいいかも…。  白糸は白いままで使いたいですよね。保管する時は、毛羽がつくから白糸と色糸は同じ袋に入れない方がいい。 西 刺しゅう糸を大切にすると、自分の作品もきれいに仕上がりますよ。 「鮮度」を大切に  刺しゅう糸もだけど、道具ももっと大切にして! って思うんですよ。 西 針とか、ハサミとかね。  私たちが本を作る時は「布用の裁ちバサミと糸切りハサミは、必ず紙用とは別のものを用意する」って書くんですけど。  それがね、意外と生徒さんたち、ひどいの(笑)。教室でいい糸切りハサミを貸してあげたら、それでせんべいの袋開けようとするからね。「ちょっと待ってー!」って。 西 裁ちバサミでビニールを切ろうとしたりね。ダメよ~! 糸は糸用、布は布用って使い分けないと。  そんなことしたら、すぐに切れなくなっちゃう。いいハサミがもったいないですよね…。 西 ハサミはちゃんと使い分けて、お手入れもしないとね。クロバーの「はさみクリーナー」知ってる?太いマジックみたいな形で、先から汚れを落とす液が出てくるの。  クロバーさんの宣伝をしている訳ではありませんが(笑)、先生が実際にお使いになっているものを教えていただくと、使ってみたくなりますね。  クロバーの「針みがき」もいいですよ。夏場は手汗で針が進まなくなるから。(編集部注:この対談が行われたのは猛暑日が続く2018年真夏のことでした) 西 糸だけじゃなくて、針も鮮度が大切ってことね。  鮮度が大切って、それだけ聞いたら刺しゅうの話じゃないみたいだけど(笑)。
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