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うさんこの“手づくりと生きる” vol.1

うさんこの“手づくりと生きる” vol.1

お伺いしたのは、手芸店クラフトハートトーカイ主催編み会「編みパ~Knitting Party~」(2025年12月)

編み物のできない私が、いざ編みパへ!

ふだん私は、ソーイングの世界を中心に活動しています。

ソーイングのイベントにも比較的行き慣れていて、知らない場所へ行くこと自体には、あまり抵抗がありません。けれど今回の編み物パーティーに関しては、申し込むまでに少し時間がかかりました。
 

理由はとても単純で、私はほとんど編めないからです。

「編み物のイベントに、編めない人が行っていいのだろうか」

「周りは、きっと慣れている人ばかりなのでは」

そんなふうに、頭の中で小さなブレーキがかかっていました。
 

それでも最終的には、「行ってみたい」という気持ちのほうが勝ちました。

会場が、日本ヴォーグ社内にあるレストラン&カフェ「カラーズ」だったことも、背中を押してくれた理由のひとつです。ソーイング関連の打ち合わせやイベントで何度も足を運んでいる場所。勝手知ったる空間というだけで、

人はずいぶんと安心できるものだなと感じます。
 

やはり“慣れ”は、思っている以上に心を支えてくれます。

そうして、少し緊張しながらも、クラフトハートトーカイさん主催の編み物パーティーに参加してきました。会場に入ると、静かだけれど、確かな高揚感がありました。
 

名札には「よく作るもの」を書く欄があり、それぞれが自分なりの言葉で手芸との距離感を表しています。

おひとりで参加されている方も多く、誰かに連れられて来たというより、「この時間を楽しみに来た」そんな空気が自然と伝わってきました。
 

クリスマスの飾り付けと、あたたかなオレンジ色の照明。

流れているのは、少し懐かしさを感じるクリスマスソング。飲み物も用意されていて、いわゆる“イベント”というよりも、どこか親しい友人達の集まりに近い感覚があります。
 

でもそれは、日常の延長ではありません。

非日常ならではのワクワク感がありながら、不思議と気持ちは落ち着いていて、初めての場なのに、肩の力が抜けていく。そんな温度のある時間でした。
 

この記事を書いている今は1月。

振り返ってみると、あの夜は、冬の入り口のいちばん深いところで人の体温が集まっていた時間だったように思います。

夜の空気を、そっとほどいてくれた。

ゲストはNagi’s Knitsの凪さん

今回のパーティーには、ニットデザイナー Nagi’s Knitsの凪さんがゲストとして来場されていました。音楽とファッションを愛し、古着を通して伝統ニットの魅力に触れ、留学先で出会ったフェアアイルのセーターをルーツに作品を生み出されている方です。
 

凪さんは、各テーブルをゆっくりと回りながら、参加者一人ひとりと目線を合わせて会話をされていました。

その様子から、この時間を楽しんでいる気持ちや、話せてうれしいという感覚が、言葉以上に表情から伝わってきます。凪さんがテーブルに立ち寄るたび、場の空気がふっとやわらぐ。そんな瞬間が何度もありました。
 

ひと巡りしたあとは、自然な流れでプチトークショーが始まります。

作品の着想源や、デザインを組み立てていく思考の流れ。編み物に詳しくない私でも思わず引き込まれてしまうお話ばかりでした。
 

みなさん耳は真剣に話を追いながら、手元では編み針が休まず動いています。

編む”という行為がすでに身体に馴染んでいる方たちの姿を見て、「編み物って、こうやって楽しむものなんだな」と、静かな憧れのような気持ちが湧いてきました。
 

ふとテーブルの上に目をやると、参加者のみなさんのバッグが並んでいます。

編みかけの毛糸や道具が入ったバッグ。色とりどりの毛糸がのぞいていて、それだけで楽しい気持ちになります。

なかには、このパーティーの時間内にはとても編みきれなさそうな量の毛糸を持ってきている方もいらっしゃいました。
 

それを見て、ふとソーイングの世界を思い出します。

布が好きな人は、つい布をたくさん買ってしまう。そして、編み物が好きな人は、やっぱり毛糸が多め。ジャンルは違っても、「好き」が集まると自然と荷物が増えるところは同じで、思わずひとりでニンマリしてしまいました。
 

編み物パーティーの良さは、編むことだけに集中しなくていいところにもあります。

編みながらおしゃべりをして、ときには飲み物を口にしたり、お菓子を軽くつまんだり。手仕事と会話と、食べることが同じ時間の中に自然に溶け込んでいて、編み物は、その距離感がとても心地いいと感じました。
 

針といっても、かぎ針や棒針は危険なものではありません。

飲み込んでしまうほど小さいわけでもなく、周囲に必要以上に気を張らなくていい。刺しゅうや刺し子、パッチワークも同じように集って楽しめる手芸ですが、「危なくないように」という前提が少し減る分、編み物の気軽さは、こうした場にとても向いているのだと思います。
 

居心地がよかった理由がもうひとつあります。

初心者の方には、ひつじさんマークがついていて、スタッフさんがさりげなく気にかけてくださっていました。編めないことを理由に、肩身が狭くなるような空気はありません。
 

各テーブルにはカゴに入った毛糸がありました。

毛糸の試し編みができ、編んだものは持ち帰ることができ、気に入ればその場で購入もできます。途中で売り切れてしまった糸があったことも、この場の熱量を物語っていました。
 

できる・できないを超えたところにあるもの。
トーカイさんによると今後は、編み針も試してもらえるようにすることを検討されているそうです。

道具は、触ってみて初めてわかるもの。それが実現したら、さらに気軽に参加できる場になるだろうと思います。
 

また、今後も編み物パーティーを開催される予定だそうです。

ゲストがいる回もあれば、いない回もあり、昼開催になることもあるかもしれない。全国での開催も視野に入れているとのことでした。
 

はじめての経験は、少し緊張します。

でも、その緊張を越えて一歩踏み出してみると、思っていたより、ずっと心地よい時間が待っていました。
 

手芸を起点に、自分の世界を少し広げていく。

作ることとは違う楽しさが、そこには確かにありました。次もまた、一歩踏み出したいと思っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

投稿者名:ハンドメイド作家 うさんこ