休日の午後。
静かな光が部屋にやわらかく差し込み、
みどりはテーブルに置いた箱をそっと開いた。
手づくりタウンから届いた
ムーミン刺しゅうフレームのおまとめセット。
箱の中には、飾って楽しめる 四角い木製フレーム、
ムーミン谷の色彩を思わせる カラフルな刺しゅう糸、
そしてムーミントロールや花々の図案があらかじめ印刷された布。
刺しゅうをすぐに楽しめる道具がひとそろいそろっていた。
見つめているだけで、
これから自分の手で小さなムーミン谷が生まれていくようで、
胸がふわりと明るくなった。
糸をそっと取り分け、針に通す。
布へやさしく刺すと、糸がすべり、少しずつ色が生まれていく。
決まった動きの繰り返しだから、
ひと針ごとに気持ちが落ち着いていくのがわかった。
淡いブルー、若草色、花の色をしたピンク。
色が増えるたび、
ムーミン谷ののどかな風景が布の上に広がっていく。
静かな部屋に、針が布を抜ける小さな音だけが響き、
ゆっくりと時間がととのっていった。
スマホが小さく光った。
メッセージは同僚の遥からだった。
ほがらかで、話しやすい女性だ。
「この前のクロスステッチね、ちょっとだけ進んだよ!」
添えられた写真には、
嬉しそうに糸を広げている様子が写っていて、
みどりは自然と笑みがこぼれた。
「色がきれいだね。ムーミンの刺しゅう、癒されるよね」
そう返信しながら、
(手づくりの話ができるって、こんなに楽しいんだ)としみじみ思った。
やがて、ムーミントロールの図案がひとつ刺し終わった。
みどりは布をそっと持ち上げ、光に透かすように眺める。
色とりどりの花に囲まれたムーミンが完成していて、
まるで「ゆっくりでいいよ」と語りかけてくるみたいだった。
その瞬間、母の顔がふっと浮かんだ。
(これ、きっとお母さん、好きだな…
昔から北欧の雑貨や布柄が好きだったし)
胸の奥で温かな気持ちが灯る。
“誰かのために作りたい”という想いが、
静かに芽生えていくのを感じた。
窓の外では、風に揺れた木々が葉をさらさらと鳴らしていた。
針仕事をする時間が、暮らしをゆっくり整えてくれる。
もう一色、糸を選びながら、
みどりは自然と次の針目が楽しみになっていた。
第6話もお楽しみに!
物語に登場した商品はこちら

CF9569 ムーミン 刺しゅうフレーム おまとめセット
ムーミン谷のほのぼのとした風景をお部屋に呼び込むような、カラフルでかわいい刺しゅうフレーム。
基本のステッチでできる、3種類の刺しゅうフレームがすべてがセットになったお得なセット。並べて飾って楽しんでください。




