加藤礼子さん
高校生の時にパッチワークを始める。結婚を機に、斉藤謠子氏のもとで本格的にパッチワークを習い始める。その後独立し、2001年3月「まざーず・どりー夢」を設立。キルト制作には、渋めながらかわいらしさも感じられる配色を心がけている。キルトジャパン、パッチワーク通信、コットンタイムなど各種雑誌に作品を掲載。著書に2004年『しあわせキルトタイム』(パッチワーク通信社刊)、2005年『加藤礼子のハートフルキルト』(主婦と生活社刊)、2006年『スーとビリーのかわいいパターンブック』(主婦と生活社刊)
加藤さんのキルト修行は、習うというより斉藤謠子さんのスタッフとして側にいながら学んでいくことだった。独立した現在も、今の自分があるのは、日本のキルト界でもトップの斉藤さんが自分を一番近くに置いてくれ、育ててくれたからこそという。もしほかの先生についていたら、独立して教室やお店を持つなどということはなかっただろうと、加藤さんは言う。
「私の作品は中間的と言いますか、はっきりしたものよりあいまいで柔らかい色合いが多いと思います。選ぶ色も、グラデーションのちょうど中間あたりが多いですね。一つの主張より、ハーモニーで生まれるものが好きなんです」
そんな志向が生まれたのは、水泳で常に仲間たちと行動してきたことも影響しているかもしれない。競争の世界ではあるが、仲間と皆でやっていくことに意味があるということが、身体に沁み込んでいる。だから、ことさら「ハーモニー」という言葉に惹かれる。
あいまいな色合いにアクセントとなるのが、刺しゅうやアップリケ。昔からかわいいものが好きで、定番のクマやウサギのプリントも好きだ。
現在6人のスタッフと共に100人ほどの生徒を教えているが、一人ひとりにきちんと教えるには一教室に4人が理想という。「教えるというのは技術的なことだけではないですね。プラスαでコミュニケートすることのほうが、大事かもしれません。私に何を求めて来て下さっているのか、出合ったからにはそれを大事にしたいと思っています」
―本文より一部抜粋― キルトジャパン2007年11月号より
- 自宅でよく使う裁縫道具一式。アンティークの青い缶は大切な裁縫箱。はさみは20年前のものから最近のものまでいろいろだ。
- 仕事部屋に備えつけた生地棚。色別に分かりやすく収納されている。
- 授業のカリキュラムとして制作したソーイングケースとピンクッションなど。
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『フラワーバスケットに囲まれて』2006年制作 160×160cm
2006年の「キルトウィーク横浜」に出品した作品。シンプルなフラワーバスケットの周りにはいろいろな形のピースをアップリケし、その上には大好きな段染めの刺しゅう糸で表情豊かなステッチが施されている。ボーダーは中央部分よりシックな色合いでやわらかなフラワーバスケットを引き立てて。