小関鈴子さん

小関鈴子さん 東京生まれ。文化服装学院卒業。1987年チャックスパッチワークスクールに入学。野原チャック氏に師事し、キルトの色合わせの楽しさ、奥深さを知り、現在に至る。1985年「日本のキルト50人展」に出品。1990年「花の万博記念国際キルト展」特別賞。著書に「スクラップキルト入門」(文化出版局)「スクラップキルトの楽しみ」(同上)「ジャパニーズパッチワーク」(日本ヴォーグ社)がある。 関連本 小関鈴子のモードなキルト

とにかく、さまざまな色柄の布を眺めたり触ったりしていることが好き。そんな小関さんの布への無上の憧れは、スクラップキルトによく表れている。小さな布片も捨てがたく、何とか息を吹き込みたいと思う。それらをシンプルな三角、四角、六角形で配色レッスンしてみると、思いがけなく新鮮な作品ができる。 アンティークの布には現代のものにはない大らかさや素朴さに加えて、思いがけないほどポップでしゃれたものがある。1930年代のアメリカのフィードサックは、こんな可愛いプリントが本当に飼料袋だったのかと驚くほどキュートだし、イギリス、フランスのアンティーク布には独特の味わいがある。そんな布を求めて、古着のシャツやスカートを買ってくることもある。 そして、西洋アンティークに勝るとも劣らない日本の古い着物地。小粋で艶やかで昔の職人たちのデザインセンスの素晴らしさに、思わずうなってしまうようなものがいっぱいある。縮緬の赤など殊のほか好きで、うっとりと撫でさすってしまう。もちろんアンティークばかりでなく、復刻プリントも含めて現代の布にも心惹かれるものは多い。 大きな花柄プリントは、アクセントとしてよく使うし、水玉、チェック、ストライプはいつもどこかに登場して全体をしっくりと調和させる引き立て役として欠かせない。 配色には、きき色というものがある、と小関さんは言う。例えば絵を描くとき最後に白を入れると、俄然全体が締まって生き生きと見えてくる。また、着物も半襟の色で見違えるほどあか抜けた印象になる。そんなきき色の使い方に、その人のセンスが出てくるのだ。 スクラップキルトの色合わせ、柄合わせをするときは、布を眺めているだけではイメージがつかめない。切って並べてみると、初めて見えてくるものがある、と小関さんは言う。布遊びの自由空間に身を置くことは、大海にひとり漂うごとき、あるいは風に乗って空を飛ぶごとき、際限のない心の解放と喜びに満ちている。 布に魅せられた小関さんの、尽きない興味の源泉がそこにある。 ―本文より一部抜粋― キルトジャパン2001年11月号より
  • 縮小レンズを使って、布柄の配色のバランスを見る。
  • 『パズル』1998年制作 220×220cm
    10cmの正方形からはじまり、半分の5cmの正方形、さらに2.5cmの正方形、そして三角形をパズルのように合わせ、大好きな布裂でスクラップキルトにしたもの。単純だけれども好きなキルトの一枚である。
  • ストライプ、水玉、チェックなどは大好きで、キルトの作品作りには欠かせない。
  • 『裁判所の階段』1995年制作 184×173cm
    赤をポイントにミシンピーシングで表したキルト。タイキルト、ボタンで3層をとめつけている。ログキャビンは好きなパターンなのでこれからもバリエーションで作りたいと思っている。

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