蜷川宏子さん

蜷川宏子さん 高校卒業後、東映のニューフェイスになり、俳優座養成所、劇団青俳、現代人劇場に所属し、舞台、映画、テレビなどに数多く出演。次女を出産して女優業を休止、家庭に入り育児に専念する。偶然鷲沢玲子さんのパッチワークキルト教室を知り、師事。自宅で教室「キルトファクトリー」を主宰。2年に一度の作品展を開いている。夫は舞台演出家の蜷川幸雄氏、長女はフォトグラファーの蜷川実花さん。

それからはキルトに夢中で、六歳違いの長女と次女のベッドカバーは、二人分同時進行して、でき上がりを揃えるように作ったそうだ。 こうして六枚ほど縫い上げたが、やはり基礎知識のない自己流キルトの限界を感じ始めた。ちょうどそんな時、夫と一緒に国立で鷲沢玲子先生のキルト教室の作品展を見た。その、品が良くて透明感のあるキルトに心動かされるものを感じて、教室に通うようになり、二十数年が経った。 振り返ると、ここでの同じ志を持つ仲間たちとの豊かな出会いがなければ、今の自分はなかったと蜷川さんは言う。夫や子供を通じてではなく、意志的に自分とつながった人間関係、それも同じことを喜び、楽しみ、励まし合い助け合う仲間の存在は、大きな心の支えとなっているとも。 蜷川さんはキルトを、ほとんど家族が実用で使うために作ってきた。一枚一枚のキルトに、家族のその時の言葉や笑顔が見え隠れしていて、まさしく蜷川家の家族史でもある。小さな子供たちは、自分の着ていた洋服の端布を見つけては大喜びし、でき上がりを心待ちにしてくれた。妻が子育てだけでなく、キルトという自分の世界を見つけたことを心から喜んでくれた夫が、芝居に使ったため息の出るようなちりめんの着物や、外国のリバティプリントを持ち帰ってくれ、それを使ったキルトも作品となった。また蜷川氏の当時の公演演目も、そのつどキルトの中に縫い込まれて思い出される。 「気に入った布をこう展開したいという時と、子どもたちがこんな感じのものを欲しいという時と、私自身が娘をイメージして作る時と、キルトの作り始めは色々ですが、とにかく夫も子供たちもすごく褒め上手で、それに励まされ気持ちよくキルトを縫い続けてこられました」 ―本文より一部抜粋― キルトジャパン2006年7月号より
  • 長女実花さんのイメージで作られたダイヤモンドつなぎのベッドカバー。
  • お気に入りの裁縫道具。ご自身で作った箱、アンティークの糸ケース、人形のピンクッションなど。撮影/蜷川実花
  • 『レッドワークのベッドカバー』 2004年制作 210×170cm
    次女麻美さんのために作ったレッドワークのベッドカバー。ボーダーは、四角つなぎ、ヨーヨーで作られている。
  • 『王冠たち』2006年制作 200×165cm
    以前から気になっていた王冠をデザインしたベッドカバーは、リバースアップリケとトラプントの技法で制作。ベースになっている白い布は糸がついていて面白い表情を醸し出している。王冠とボーダーの布には大好きなリバティプリントを使って。

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