(4)時間の中で
2019/01/30 00:00
3月の大地震のとき、私はヴォーグ学園での講座中でした。避難時に「コートと貴重品を持って!」と言う私の言葉そのままに、生徒さんはみな作りかけの人形も道具も机に残していきました。 その瞬間から今もずっと、許しがたい日常は続いていますし、自分の「やるべきこと」を、だれもが模索していることだと思います。私も毎日、その問いかけを続けます。 まずは、子どもを守ること。次に、どんな時でも私の人形を必要としてくれる方のために、作品を作り続けること。人形作りを必要としてくれる生徒さんに、楽しい時間を過ごしてもらうこと。そして、小さくてもいから、被災地の支援を続けていくことです。 震災前と仕事も内容も、一見変化はありません。ですが、終わりの見えない非日常という時間の中で、「作りたい気持ち」の軸は1本の自分ではなく、幾本もの他者へとなりました。今日も明日も、ニードルを持って作り続けます。3・11に心を置き去りにしないように。 果物はほぼ本物と同じサイズ。40 粒の葡萄だけで制作に丸二日を要しました。美味しそうに見えるかな? 毛糸だま 2011年秋 151号掲載
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