栄美子 戸田 ローブさん

栄美子 戸田 ローブさん 1985・86年AQSキルトショウコンテスト入選。1987~96年AIQAキルトショウ出品、諸賞受賞。審査員、ワークショップ、レクチャーを行う。1987・88年ニューヨーク・キルト・アーティスト九人展出品。1987・91・98年インターチャーチセンターにて個展開催。以降、さまざまなキルト展にて作品の出品多数。2000年AQS2000キルトエキスポ作品がニューヨーク代表に選ばれる。NHKテレビ「おしゃれ工房」に出演するなど、活躍の幅を広げている。

コンテンポラリーのリバーシブル・ログキャビン・キルトで、独自の世界を展開している栄美子 戸田 ローブさん。ニューヨークの自宅ではもっぱら自分の創作に時間を当てているが、このところ日本でのキルト指導が多くなり、例年4回の帰国が増えつつある。 京都の古い町屋に生まれ育ち、寺や庭園巡りが趣味だったという精神土壌が、国際結婚でニューヨークに住むことで新たな視点を得て、独創的なキルトに醸し出されてきた。そんな日本的美意識を伏流とした栄美子さんのキルトの軌跡を探りに、京都の実家を訪ねた。 1983年、初めて仕上げた「平安」という作品は、今でも見ると当時の自分が鮮明に甦ってきて、懐かしくも切ない思いにかられる作品だ。キルトのテクニックもなく、アップダウンで一針一針気の遠くなるような作業をした。それから20年のうちに、60作品を生み出したが、栄美子さんの作品に一貫している日本的なるものの源泉は、やはり京都である。 幼稚園は、家から大人の足で5分ほどの所にある西本願寺の中にあった。幼稚園が終わっても、真っ直ぐなんて帰らない。畳敷きの広い本堂を走り回り、玉砂利の境内に面白いものを見つけてはしゃがみ込み、世界文化遺産の西本願寺は、子供の頃から恰好の遊び場であった。(中略) そう言えば、栄美子さんが表裏異なるデザインを同時に縫っていくリバーシブルキルトを作るようになったのも、お寺の表裏で絵が違う襖や、表と裏で表情の違う寺の門などが、潜在意識にあったのかもしれないと言う。 ―本文より一部抜粋― キルトジャパン2002年5月号より
  • ご主人の母親からもらったというソーイングセットはいつも大切に持っている。
  • アンティークな日本の箪笥には古布、藍布、外国の現代布などが分かりやすく整理されてしまってある。
  • 『亜未宇(あみう)』 2001年制作 207×157cm
    カラフル面 全体を大小不規則な70個の四角に分け、その上に点々で、別の輪郭が浮かび上がるよう祈りながらの制作。どれもそうだけど、すべてでき上がってからでないと全体を見ることができず、想像力だけが頼りである。
  • 『亜未宇(あみう)』 2001年制作 207×157cm
    藍面 どの国の雪景色を見ても、雪というものはすべて青と白の世界に変え、ほかの季節と全く別の印象にしてしまう偉大なマジシャンだと感嘆している。静寂の宇宙に無限のパワーを秘めて。