ムーミンとめぐる、手づくりの時間

ムーミンの世界と手づくりが出会うと、暮らしはちょっと特別に。
物語とともにハンドメイドグッズやキットをご紹介します。

第3話「糸で描くムーミン谷」

休日の午後。コーヒーをいれて、静かな時間を楽しむ。

みどりの机の上には、手づくりタウンで注文した新しいキットが届いていた。
箱を開けると、色とりどりの毛糸とムーミンたちの図案。
ムーミン パンチニードル 6種おまとめセットだ。

ムーミン パンチニードル 6種おまとめセット
専用の道具をそろえるだけで、初心者の方でも手軽にかわいい作品が作れるパンチニードル。6作品すべてをつなげると、小さなラグに。

「これ、ずっとやってみたかったんだ」

ふわふわの毛糸に指先が触れた瞬間、心がすっとやわらかくなる。
パンチニードルは専用の針で布に糸を刺していく手芸。
プチプチと心地よい音を立てながら、糸が少しずつ形を作っていく。
そのリズムに合わせて呼吸がゆるみ、心まで整っていくのを感じた。

ムーミントロールの姿が少しずつ浮かび上がっていく。
毛糸の森やおうちが立体的に膨らみ、まるで手のひらの上にムーミン谷が広がっていくようだ。

途中で糸が絡まっても、それも楽しい。
北欧で大切にされているウェルビーイング。
上手くやることよりも、今この時間を気持ちよく過ごすこと。
その考え方が、手芸にもぴったりだと思った。

翌日、昼休みに同僚の遥に声をかけられた。

「みどりさん、この前のスカート直ってたよね? あの裾、すごくきれいだった!」

「うん。ムーミンの裁縫セットを買って、まち針で留めながら縫ったんだ。思ったより簡単だったよ」

興味深そうに頷く遥。
「いいなあ。実は私もボタンが取れたブラウスがあって、放置してるんだよね」

「それなら、今度一緒にやってみる?」

「えっ、いいの?ひとりだと、なかなか始める勇気が出なくて…」

「わかる、私もそうだったの。そういえば、この前パンチニードルっていうのを始めてね。ムーミンの図案がすごくかわいいの」

スマホで作品の写真を見せると、遥が目を丸くした。
「これ、自分で作ったの!? かわいい!私もやってみたくなっちゃう!」

ふたりで笑いながら話していると、昼休みの時間があっという間に過ぎていった。
同僚だった遥が、少しずつ“手芸仲間”になっていく予感。

毛糸のぬくもりと、誰かと分かち合える喜び。
それがまた次の“つくる時間”へのエネルギーになる。

第4話もお楽しみに!

ムーミンとめぐる、手づくりの時間

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