休日の午後。
窓からやわらかな光が差し込み、机の上にはこの前手づくりタウンで注文した小さな箱があった。
ふたを開けると、木のぬくもりが伝わる丸い針山が現れた。 手のひらにすっぽり収まる大きさで、その上にはムーミントロール、スノークのおじょうさん、ムーミンやしきをかたどった小さなまち針が並んでいる。
「わぁ、かわいい…」
思わず声がもれた。 ひとつひとつの針が、ムーミン谷の仲間たちのように自分の居場所におさまっていて、それだけで気持ちがほぐれていく。
CRAFTINGだけの数量限定商品です。
ふと、クローゼットの奥にしまっていたスカートを思い出した。
裾がほどけてしまって、お気に入りなのに長い間、履けなかったもの。
針山からまち針を抜き、スカートの布を留めてみる。
小さな道具なのに、不思議と「やってみよう」という気持ちが背中を押してくれる。
針を動かすと、ほどけていた裾が少しずつ元のかたちに戻っていく。
「直せば、また前みたいに履けるんだ」
その実感が胸にじんわり広がって、思わず笑顔になった。
お気に入りの手芸用品がそばにあるだけで、面倒に感じていた補修も、ちょっと楽しいひとときに変わる。
こうして暮らしを整える小さな時間は、心と体が自然に調和するウェルビーイングにもつながっているのかもしれない。
机の上の小さな針山は、これからも私の相棒になりそうだ。
第3話もお楽しみに。
ムーミンとめぐる、手づくりの時間











