高橋恵子さん

高橋恵子さん 大阪市出身、京都在住。1979年京都に「高橋恵子パッチワークキルトスクール」を開校。その後、大阪、神戸、東京に教室を開校、通信講座も開講し、多数の生徒の指導に当たる。パッチワークの分野では、コンテンポラリーキルトの作品を多数制作。海外のキルターたちとの交流も多く、各国でのキルトエキシビションにも多数作品を発表する。日本パッチワーク・キルトスクール連盟理事。著書に「高橋恵子パッチワークキルト基礎と実技教室」(婦人生活社刊)、「高橋恵子のパッチワーク講座 はじめての現代キルト」(パッチワーク通信社刊)など多数。

高橋さんのキルトは、コンテンポラリーと称される。いわゆる伝統的なパターンを踏襲したトラディショナルキルトに対して、あらゆる約束事を取り払った、自由な創作キルトである。家業の呉服屋で和布に囲まれて暮らしていると、まったく違うジャンルに飛び込みたいという気持ちが強くなったという。 コンテンポラリーキルトは、題材も自由なら、素材や手法のスタイルも自由である。キルトは伝えたいことを表現するための手段である。歌手は歌で表現し、役者はお芝居で表現する。キルトは、今生きている自分が、どういう想いで生きているか、その表明とも言える。 それが、家族のための記念キルトだったり、旅行の思い出キルトだったりと、人生の時々を表現するキルト。幸せなことにキルトを通して自分を表現し、見た人々に感動も与えることができる。自分の想いを込めたキルトが、こうして人々をつなぐ役割も果たすことを、大切にしているという高橋さんである。 高橋さんの作風は遠近法を駆使した、幻想的でカラフルなものが多い。この世界を保ちながらこれから挑戦してみたいのは、「京都」を主題にした作品を作ることだ。この歴史と伝統の鎧をまとった古都を、自分なりに現代的に表現できないものかと、思いを温めている。 京都に嫁いできて四十年余り、やっと京都という土地柄を理解できたかなという思い半分、まだまだ底知れぬ思い半分。京都の独特の文化の中で新しいもの好き、本物好きの京都人の、感動の「京都」のキルトを見てもらいたいと思う。 「とにかくじっとしていられない性分なので、これからも自分のキルトを生み出すために努力し続けると思います」と、あくまでソフトに語る高橋さんである。 本文より一部抜粋― キルトジャパン2008年5月号より
  • 「春の妖精」2006年制作 210×210cm
    「2007年東京国際キルトフェスティバル」出展作品。春はさまざまな人生が始まる季節。蝶や妖精、花たちが気持ちよさそうに、あちらこちらと飛び回る、そんな様子を鮮やかな色使いで表現している。
  • 次女の由美さんの結婚を記念して制作したという「翔(はばた)き」。大空に向かって翔く鶴に娘の幸せを願い作られた作品。
  • 今まで制作した想い出深いキルト。右から「朝焼けのモンサンミッシェル」、「今、ふたたびアールヌーヴォー」、「キンデルダイクの風車群」。
  • キルト作りが楽しくなりそうな、黒地にカラフルなグラデーションを組み合わせて作った2種類のお針箱。「私の針仕事展2005」に出品したもの。