第23回 キルトジャパン賞 入賞作品発表

第23回 キルトジャパン賞 入賞作品発表

毎年開催のキルトジャパン賞も今年で23回目を迎えることになりました。作品はA部門:ミニタペストリー「テーマ:愛」とB部門:袋ものの2部門で募集。本審査は、こうの早苗さん、藤田久美子さん、本誌編集長の石上友美によって行われ、各賞が決定しました。協賛社賞もあわせ、計142点の入賞作品を発表します。

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グランプリ

グランプリ

長谷川 縁(北海道)

「あい。とどく。つたわる。」 80×80cm

作者のコメント
愛は心の中に。人それぞれ違った形で。その温かな想いが伝わった時、愛はそれぞれの色になり、形になり目の前に現れ心に残る。
審査員からのコメント

こうの:作品から優しさを感じました。素材の質感が愛というテーマによく合っていて、抽象的な表現手法をとっていても温かさが伝わってきます。

藤田:ウールを染色した素材を使うことで中間色の表現が豊かになり、作品に優しい印象を与えています。運針のざっくりしたキルティングの表現や毛糸のもわもわした感じが独特で優しい愛を感じます。

金賞

金賞 A部門 (ミニタペストリー)

桶本美知子(兵庫県)

「逢えて良かった…♡」 79×79cm

作者のコメント
この8年程、孫2人との出会いは楽しい限り。逢う度に新鮮で、また妙に懐かしくもあり、無償の愛のいろいろを実感している現在です。
審査員からのコメント

こうの:ハートのモチーフを使ってテーマを十分に表現しています。一つ一つのハートにさまざまな手法が使われており、作者の技術の高さには目を奪われました。子供への愛、手仕事への愛を感じさせてくれる作品ですね。

藤田:ずかしい別珍素材をよく生かしています。テクニックが素晴らしく、ハートのバリエーションの部分は抽象的デザイン、アップリケの部分は具象表現とバランスよく構成されています。

金賞 B部門 (袋もの)

石井和代(熊本県)

「ウールのファスナーいっぱいバッグ」 27×24×24cm

作者のコメント
バッグには似合わないかな? と思った金属の重く太いファスナーが柔らかく軽いウールとの融合でおしゃれな楽しいバッグができました。
審査員からのコメント

こうの:色、形、アイデア、すべてのレベルが高い作品です。私の好きなチェックがさまざまな形で使われていて、落ち着きの中に楽しさが感じられます。形もユニークでオリジナリティーがありますね。

藤田:チェック好き、トラッド好きな私の大好きな作品ですね。ファスナーの開き具合のバランスが絶妙ですし、持ち手やコラージュ、くるみボタン、黄色いタグやアクセントラインをきかせたところなどに作り手のセンスを感じます。バッグのデザインはバランスが難しいのですが、無難に終わらず挑戦していながらも収まりがよく使い勝手のよいバッグになっています。

銀賞

銀賞 A部門 (ミニタペストリー)

永井久仁子(大阪府)

「マイ タウン」 80×80cm

作者のコメント
愛に満ちた家のまわりの様子、町の家々、庭の花々や鳥や虫を表現してみました。ピースワークとアップリケを組み合わせました。
審査員からのコメント

こうの:色使いや全体のバランスがよく楽しい作品です。いろいろな色が入っているのに少しもうるさくなっていないところに色彩センスのよさを感じます。

藤田:私も色彩をあらためて勉強しているところですが、この作品はたくさんの色が使われていながらまとまりがあって楽しさを感じます。中心円を取り囲んで放射状に配した建物の構図にも動きがあり、楽しい町、愛のあふれる町だと感じさせてくれます。

銀賞 A部門 (ミニタペストリー)

横手郁子(神奈川県)

「お陽さまに愛される花ミモザ」 80×80cm

作者のコメント
春先の花で思い浮かぶのがミモザと桜。桜の静かで怪し気な美しさに対し、ミモザは陽光を集める活発な少女のイメージがあります。
審査員からのコメント

こうの:太陽が降り注ぐ様子が上手に表現されています。私も春は大好きな季節ですが、まさに春の光や空気感が伝わってくる温かみのある作品です。

藤田:ミモザのコラージュや陽光の部分に元気をくれる黄色が効果的に使われています。また全体の構図がよく、太陽を中心に広がる円のキルティングラインが太陽の温かさをうまく表現しています。

銀賞 B部門 (袋もの)

会田智子(東京都)

「for you…」 30×60×20cm

作者のコメント
マドモアゼルのマルシェバッグをイメージしました。あなたのためにお料理の食材を買いに市場へ。今夜は何にしようかしら…。
審査員からのコメント

こうの:すぐに持って出かけたくなるかわいらしさがあり、大好きなバッグです。技術も高く、布、レース、ボタンなど素材の選び方に手芸好きな作り手のこだわりを感じます。妥協の一切ない選び抜かれたものだけを使っていますね。

藤田:持って楽しい、見せて楽しいバッグです。朝布、レース、ボタン、クリーニングタグなどかわいいものたちがバランスよく配置されています。私もこういう小ものを集めているので作者の手仕事への想いがよく伝わってきますね。

銀賞 B部門 (袋もの)

川地佳子(愛知県)

「秋風」 27×27×8cm

作者のコメント
土台布はクレイジーキルトで夕焼けを作り、雑草の中に忘れられたゼンマイが風に揺れている様子を表しました。いつでもアートです。
審査員からのコメント

こうの:非常にアーティスティックな作品です。アップリケを生かした絵画的表現が見事な側面部と、まちの生地や持ち手とのバランスがいいですね。

藤田:伝統的な中に現代風な感覚をうまく取り込んでいます。バッグを評価する時には持ち手と側面とのバランスが重要ですが、この作品では一体感があって上手ですね。大胆なゼンマイのモチーフが力強くて絵画を見ているような印象です。

審査員賞 A部門(ミニタペストリー)

こうの早苗賞

間渕悦子(山口県)

「バスケットに入れてね。」 71×75cm

作者のコメント
若菜を摘んでカゴに入れるように、優しい気持ちや愛する心を、バスケットに入れて届ける。そんなイメージを表現しました。
審査員からのコメント

こうの:赤いブランケットステッチが印象的です。またステッチとアップリケのずらし具合なども効果的でテクニックがありますね。優しい愛にあふれた楽しさ、ハッピーを感じさせる作品です。

藤田久美子賞

野口恵美子(大阪府)

「大好き!」 73×73cm

作者のコメント
中央の花束と2匹のてんとう虫、そしてボーダーの「好き嫌い」の花びらが可憐に伝わるよう、ヨーヨーキルトで華を添えました。
審査員からのコメント

藤田:ハートの花で作った愛のブーケとトラッドの花のアップリケとのバランスがよく、まわりに配されたヨーヨーもかわいいアクセントになっています。愛にもいろいろな形があると思いますが、この作品ではかわいい愛が表現されていますね。わたしも愛のブーケが欲しくなりました。

石上友美賞

松浦加代子(滋賀県)

「愛しい孫たち」 78.5×78.5cm

作者のコメント
私には男の孫が3人います。竹の節のように長い人生、楽しい時、苦しい時もハードルを飛び越え孫たちが真っすぐ成長してくれることに願いを込めて。
審査員からのコメント

石上:まっすぐに伸びる竹の様子を、質感や印象の異なる数種類の和布で上手に表現しています。タケノコのアップリケも味わいがあっていいですね。仕上がりのきれいさと、直線の伸びやかさのせいか、とても安定感を感じます。竹がなぜ「愛」なのかと思いましたが、タイトルを聞いて納得しました。すくすくとまっすぐ育ってほしいという温かい気持ちが伝わってきました。

トラディショナル賞

小山久美子(長野県)

「アイ」 79×79cm

作者のコメント
世の中のすべての人に愛があふれて大切な人がいることを願いダブルウェディングリングで表現しました。
審査員からのコメント

こうの:パターン、色、デザイン構成を完璧に収めて気持ちのいい作品です。これぞトラッドという作品でありながら愛というテーマがよく伝わってきます。

藤田:白地の部分と色の面積のバランスが画面の中に上手に配されていて心地よい作品です。全体の印象として遠巻きに愛の心が伝わってくる温かみのある作品で、トラッドのよさが見事に表現されていますね。

審査員賞 B部門(袋もの)

こうの早苗賞

佐藤久美子(神奈川県)

「故郷(ふるさと)に咲く花」 23×22×4cm

作者のコメント
故郷に咲く花は、幼いころ摘みとって遊んだ名もないどちらかといえば地味な花。よく見るとコケのなかにひっそりと咲いている。
審査員からのコメント

こうの:色使いの上手さに惹かれました。グリーンと黒のバランスがよく、刺し色のオレンジが効いたエレガントなバッグです。グリーンの色の選び方もよく、持ち手に大人っぽいアンティークの素材を選んでいたり、底にビーズ、縁どりに刺しゅうがほどこされていたりと上質感のある作品です。

藤田久美子賞

小倉あつ子(愛知県)

「Flowers」 25×48×17cm

作者のコメント
同じデザインの花が8つですが、花びらの生地、形を変えることで変化をつけました。花びらはミシン刺しゅうのデータを作成し作りました。
審査員からのコメント

藤田:基本的にシンプル・イズ・ベストと思っているのですがこのバッグにはなぜか惹かれました。地の部分はストライプを面分割して方向性を出しており、その上に大胆なひまわりを全面ではなく何分の一かで配置することにより動きを感じさせています。まわりにあしらわれた葉っぱもかわいらしくて、デコラティブだけどバランスがよいバッグ。シンプルな洋服に持ちたい素敵な作品です。

石上友美賞

栗森貞江(広島県)

「はじめての刺し子」 27×45cm

作者のコメント
全く針が持てなくなっていた私はストレートバッグを見て大きな針目でも縫っていいのだとわかり、何度も何度も重ね縫いをしました。
審査員からのコメント

石上:ベースの布を覆い尽くすように刺された刺し子と刺しゅうのステッチに圧巻です! ベースの布を殺すことなく、バランスよく刺していると思います。刺し子のステッチも糸を変えたり間隔を変えたりして単調にせず、楽しみながら縫ったのだろうなと感じます。細かいところにも技をきかせた手仕事ならではの作品ですね。

協賛社賞

株式会社エム・シー・スクエア賞

オリムパス製絲株式会社賞

株式会社KAWAGUCHI賞

神田商事株式会社賞

金亀糸業株式会社賞

クロバー株式会社賞

蛇の目ミシン工業株式会社賞

JUKI販売株式会社賞

ジョアン賞

大黒絲業株式会社賞

ダイワボウテックス株式会社賞

ディー・エム・シー株式会社賞

内藤商事株式会社賞

ハスクバーナ バイキング賞

株式会社フジックス賞

ブラザー販売株式会社賞

株式会社ベルニナジャパン賞

有輪商店賞

横田株式会社賞

株式会社ルシアン賞

渡邊布帛工業株式会社賞

公益財団法人日本手芸普及協会賞

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