瀧田裕子さん

瀧田裕子さん 1978年原宿の「パッチワークキルトスクール」を終了。1982年教室兼ショップ「キルトポット」を主宰。毎年展示会を開催。1998年「キルトポット」15周年記念作品集を出版、以降、2008年に7冊目を出版。2000年NHKおしゃれ工房に出演。2005年『15種類のパターンで作るパッチワーク』(ブティック社刊)出版。海外のキルト展で入賞、キルトや小もの類を幅広く手掛け、キルト展や専門誌で作品を発表し続けている。

思えば、初めてキルトを習い始めた頃は、まっすぐ縫う運針すら満足にできず、指貫きもどの指にはめていいのかさえ分からない状態だった。でも、慣れないうちは難しく感じるかもしれないけれど、指貫きを使うとどんどん上達するからと、先生に言われた。まさにそのとおりで、瀧田さんも生徒には同じことを言ってきたという。 「できないことができるようになるというのは、人間幾つになってもうれしいものです。私の場合も、コンプレックスが喜びに変わっていきました。キルトには、そんな段階がたくさんあって、小さな成功が積み重なって、喜びになっていくんですね。その成長過程がキルトの大きな魅力だと思います」 キルトに芸術性を目指す方向もあるが、何より作っている時間が楽しい、幸せな気分にしてくれるということこそ、すべての出発点ではないかと瀧田さんは言う。 「初めて四枚の布をはいだ時の喜び、楽しさこそ基本だと思います。その初心を忘れてはいけないと、時々自分に言い聞かせています」 そして、生徒たちの持っている大事なものを生かしていくことで、人まねではないキルトになると思っている。迷った時、自分が好きなものは何かと考える。その指針に従っていけば、どんどん縫えるし、決して人まねではなくなる。 作品を自分の住んでいる空間に置いて、ずっと心地よくいられるか、持ち重りしたり、立派すぎて気詰まりしないか、そんなことを考えながら作るようにしている。 「だから人が私の作品を見て、すごいですねと言われるより、なんとなく好きですと言われる方が、本当にうれしいんです」 共にいて気持ちのいいキルトこそ、目指すキルトなのだ。 本文より一部抜粋― キルトジャパン2009年5月号より
  • 手前の針箱は、椅子に座る人の高さに合わせた足がついている。昔から椅子文化だった西洋のものならでは。針道具もアンティーク・マーケットで見つけると、つい手が出てしまう。
  • キルトジャパン2004年9月号で、100号記念特別企画の時に作ったメッセージキルト。教室展を記念して作るパターンをモチーフにしたピンバッチを、毎年足している。
  • アンティークキルトや自作のキルトをアトリエの棚に収納。いつでも見られるようにしている。棚の上下に飾られているのは、アメリカで買ってきた針道具がモチーフの人形たち。ユニークな表情に惹かれた。
  • 『黒い森の小さな花』177×177cm
    黒無地とチンツ加工をした光沢のあるものとを市松に配して、同じ黒布でも質感の違いを出した。漆黒の闇の中でも、小さな花が咲き緑が芽吹き、見るものに希望と光を与えてくれる。東京国際キルトフェスティバル2009出展作品。

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