
本を開き、毛糸を針にかけたその瞬間。
そこから始まるのは、誰にとっても“はじめての編み物”の時間です。
日本ヴォーグ社の本『あみものできた!』は、そんな最初の一歩をやさしく支えてきました。
15年前に生まれたこの一冊は、編み物をまったく知らなかった人にとっての入り口。
鎖編みをひとつ結ぶだけで「できた!」という喜びが手のひらに宿る──。
完成品を目指すだけでなく、編む時間そのものを楽しむことを伝えてきた、初心者にとって心強い伴走者のような本です。
そして今、『あみものできた!』は新装版としてよみがえります。70年にわたり編み物とともに歩んできた日本ヴォーグ社だからこそ、この本を通じて「はじめての編み物」を、もう一度すべての人に届けたいのです。
今回の企画では、365日手づくり服を縫う津田蘭子さんと、SNSでソーイングレシピを発信しているうさんこさんの“ソーイングコンビ”。さらに、商品のコピーライティングや講座を手がけるコピーライターで、ハンドメイド作家向けにも言葉の指導をしている吉免高志さん。この3人に、はじめての編み物を体験してもらいます。
それぞれの立場から「ゼロから編む」瞬間をどう受け止めるのか──。その発見や戸惑いをありのままに綴ることで、読者に“自分もやってみたい”と思ってもらうことをめざします。
SNSやデジタルが生活の中心となった今だからこそ、編み物は「きれいに仕上げる技術」だけではなく、そっと心を整える時間、だれもが気軽に始められる小さな習慣として、あらためて意味を持ちます。
はじめて編み物をするときに大切なのは、うまくやろうとしないこと。たとえ不揃いでも、鎖編みをひとつ結ぶだけで、糸のリズムが心に寄り添い、ふっと肩の力が抜けていきます。その小さな体験は、せわしい毎日の中で“リフレッシュの入口”となり、大人も子どもも、いつの間にか「編み物に開かれた時間」を手にしているのです。
そして、この企画を通じて──『あみものできた!』が新たな世代へと受け継がれ、「はじめて編んだ日の記憶」として、誰かの暮らしの中にやさしく根づいていくことを願っています。
【10月22日より第2、4水曜更新予定】
あみものできた!










